節電のヒントを発見していく

省エネレポート

節電のヒントを発見していく

九州電気保安協会では、省エネに取り組む企業や施設をサポートしています。今回ご紹介するのは、くじゅう連山を望む緑豊かなリゾート施設・荻の里温泉さま。省エネ・節電の取り組みについて菅八郎さんに伺いました。

荻の里温泉(荻町まちおこし有限会社)さま 大分県竹田市荻町新藤1131
湯・食・泊・遊のリゾート施設として1999年にオープン。竹田市・久住高原観光の拠点として、年間約10万人が来訪する。里の駅(大分県)に指定されている。

節電を安定して続けるために

荻の里温泉は1999年に当時の荻町が地域活性化の拠点としてオープンしたもので、その後の合併で新生・竹田市となって今日に至るまで、いま私が代表を務める「荻町まちおこし有限会社」が指定管理者として運営を行っています。荻の里温泉はいわば竹田市の大切な財産。それを守るために経費節減に努め、電気に関しても有効な使い方を皆に奨励し、私自身も館内を歩きながらどんどんムダな照明を消していました。この節電を安定して続けていくための管理システムとして、10年ほど前に保安協会からECOねっとシステムを紹介してもらい導入しました。

デマンド管理で空調を制御

お客さまが滞在する施設なので、最も電力を使うのは空調。季節では夏と冬に、時間帯ではお客さまのチェックインが集中してレストランや宴会場でも空調が稼働する昼や夕方に、電気の使い過ぎを知らせる警報が鳴りました。その際はお客さまに影響がない従業員の事務室や休憩室、厨房、パントリーなどの空調を下げたり切ったりし、しばらくして事務室に設置しているECOモニターの様子を見ながら順に上げていきます。空調は事務室で集中制御しているので敏速に対応できます。このようなデマンド管理と照明のLED化によって、この10年間で契約電力を205kWから161kWまで下げることができました。現在は目標値を180kWに設定。ずっと安定しています。

知恵と工夫で新たな節電方法を発見

デマンド管理の他に知恵と工夫で使用電力の削減に努めています。例えば冬場の節電。この時期は、玄関から人が出入りするたびに外から寒風がロビーに入って寒くなります。室温が一旦下がると吹き抜けのロビーでは空調で温度を上げていくのに時間がかかります。そこでロビーに暖房の補助としてファンヒーターを置いてみたものの効果なし。思いついてヒーターを寒風吹き込む玄関脇に置いてみたところ、ヒーターの温風が外気の侵入を防ぐ空気のカーテンとなって、ロビーが寒くならない。それどころか汗をかくくらい暖かくなり、空調の設定温度を下げるまでに。1日8ℓの灯油でかなりの節電ができたのです。

見えなかったムダを発見

省エネの対象は電気だけではありません。当施設の天然温泉は源泉温度が約34℃なので、ボイラーで沸かす必要があり、その重油代が年間1500万円でした。しかし7年前に薪ボイラーの存在を知り、地域で廃棄される間伐材を燃料として利用できることから導入。重油焚きと併用したところ、重油代を400万円に抑えることができました。今後の課題はハード面の節電。老朽化した空調機器を省エネタイプのものに順次取り替えていきたい。これまで節電を徹底してきたので「これ以上、何を?」という気もしますが、いまでも何かしら発見はあります。今回のコロナ禍で売り上げが激減し、それに応じてやりくりする中でいままで見えていなかった余計な出費を発見できたということもありました。「これは節約できないだろうか?」といつも意識することが大事かなと思います。

1天気の良い日は温泉からくじゅう連山の眺望を楽しめる
2ECOモニターを見ながらデマンド管理を行う
3客室では全館空調と個別空調を併用して温度調整
4廃棄される間伐材を燃料として利用している薪ボイラー

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