太陽光発電設備の発電ロスは改善できる?

現場レポート

太陽光発電設備の発電ロスは改善できる?

太陽光発電設備はそのほとんどが無人の屋外に設置されており、何か不具合が起こっても気づきにくいもの。
太陽光発電設備を設置したものの、メンテナンスが行き届かないというお悩みをお持ちの方も多いようです。
今回は太陽光発電設備のメンテナンスについて、当協会長崎支部の井手上優太がご紹介します。

太陽光発電設備の発電ロスは気づきにくい

太陽光発電設備はメンテナンスフリーと思われがちですが、①太陽光パネルの汚れ②飛来物による太陽光パネル破損③草木の陰になるなどの自然現象④経年劣化による接続不良の設備故障等、発電効率の低下や発電停止を招くことがあります。
その中で、パワーコンディショナー(以下パワコン)※と太陽光パネルの一部だけに不具合がある場合でも、ある程度発電することから、少しずつ増えていく発電ロスに気づきにくいものです。
発電効率の低下や発電停止の状態が放置されると、売電収入が少なくなり、お客さまの損失へつながります。
そこで発電ロスを早期に発見するために、プロによるメンテナンスが必要となります。
※発電した直流の電気を交流に変換する装置

メンテナンスで不具合を特定

当協会では太陽光発電の発電状況・停電警報をWebで閲覧できる遠隔監視業務と、お客さまのご要請に応じたメンテナンスを実施しています。
不具合の発見事例として、太陽光パネルや架台の目視点検により太陽光パネルの一部が割れているのを発見しました。また、測定器を使った発電診断で発電ロスとなる故障箇所を特定しました。定期的なメンテナンスで、不具合を早期に発見し、発電ロスと改修費用を抑えることができました。

動物による被害にも注意

太陽光発電設備は自然の中に設置されていることが多く、時に動物による被害もあります。
例えば、イノシシが構内を駆け回り、太陽光パネルの配線を足に引っ掛け断線させた被害がありました。また、冬の日にパワコン内にネズミが侵入して制御線の被覆をかじっていたこともありました。
このように太陽光発電設備では様々な要因による不具合や発電ロスがあり、メンテナンスにおいては細部まで綿密に実施する必要があります。

出力制御にかかる負担を軽減

太陽光を含む発電事業者には電力の需給バランスを保つために発電の出力を抑える措置が課せられています。その出力制御にかかるお客さまの負担を軽減するため、当協会ではパワコンをパソコンやスマホで遠隔操作ができる「太陽光発電遠隔操作Webサービス」も提供しています。特に旧ルール対象のお客さまにはわざわざ現地に出向いて手動制御をする必要がなくなるので、その費用対効果は大きいと評価いただいています。
メンテナンス時に不具合箇所を発見し、お客さまへ報告した際に感謝の言葉を頂いたときにこの仕事のやりがいを感じます。これからも、発電効率を低下させないよう、設備全体をしっかり点検していきます。

1発電出力が低下していないか診断

パワコンにI‐V(電流-電圧)特性測定装置をつないで、モジュールの出力特性を診断します。

2故障箇所を特定することで交換費用を最小限に抑えられる

I‐V特性測定装置で異常が分かった場合、発電出力低下の原因を特定するため、故障箇所をモジュール単位で探索します。

3赤外線カメラでホットスポットを検知

モジュールの不具合箇所を特定するため、赤外線カメラでモジュールの表面温度を観察し、異常な発熱箇所がないかを調べます。発電設備が広大な場合は、ドローンを活用します。

◀赤外線カメラの映像(イメージ)

発電ロスにつながる設備の不良が発見されています
モジュール表面の破損
コネクタ接続部の断線
(モジュールの裏面)

太陽光発電の発電能力を低下させないための点検・メンテナンスです!

九州電気保安協会
長崎支部
技術部 技術グループ
井手上 優太

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