現場レポート
お客さまをサポートする試験技術業務
お客さまをサポートする試験技術業務
九州電気保安協会ではお客さまの電気設備をサポートする試験技術業務を行っています。
試験技術業務の内容と業務事例を、当協会大分支部の大平真哉がお伝えします。
点検・測定・試験から相談まで
大規模な工場や商業施設では専従の電気主任技術者がいるところもありますが、少人数では月次や年次の定期点検でも十分に手が回らないことも。また、大規模な設備では定期点検よりも精密な点検、測定などの業務が必要になり、数日間施設の電気を止めて試験を行うこともあります。そうしたお客さまからの要請を受けてサポートするのが当協会の試験技術業務です。対象設備は受変電設備や太陽光発電設備、消防設備、新・増設工事に伴う電気設備の竣工検査など多岐にわたります。また、電気事故の原因究明、省エネ提案など、電気に関する総合的な技術コンサルティングも行います。
非常用予備発電機の総合点検
私はおもに防災業務を担当しているので、火災報知器やスプリンクラー、誘導灯など消防設備の試験技術業務が多いのですが、今回は非常用予備発電機の事例を紹介します。非常用予備発電機は、火事などの災害時における停電の際にスプリンクラーなどの消防設備を動作させるための電源を供給する重要設備です。毎年の消防設備点検の中に非常用予備発電機の点検項目もあり、消防法に基づく年1回の「非常用予備発電機の総合点検」では、運転性能を確認する負荷運転、または内部観察などを実施することが義務付けられています。※
※予防的な保全策を講じることにより負荷運転を実施してから6年を経過するまでの間は運転性能に係る点検を実施しないことができます。
施設を停電にしない擬似負荷試験
現場は1階バックヤードの機械室。当協会4名のチームで発電機の総合点検をしますが、その準備で最優先に行うことは発電機制御盤のモードを「自動」から「試験」に切り替えて発電機制御盤の開閉器を切ること。これが万が一の事故を防ぎます。そして屋外に設置した擬似負荷装置からケーブルを引き込んで発電機に接続。このときに必ず検電して無電圧を確認します。これら一連の準備作業を誤ると電気事故を起こしかねないので、手順書をもとに2名で相互確認しながら進めます。そして並行して行うのは発電機の外観点検。エンジンのオイル漏れやベルトの緩み、冷却水の量、バッテリーの状態などを目視点検していきます。準備を終えると負荷試験の開始ですが、その前にまたモード切替の再確認を。
電気主任技術者と消防設備士
発電機はまずエンジンを回すだけの無負荷運転。異常がないことを確認したら発電機制御盤の開閉器を「入」にして擬似負荷装置に送電。発電機容量に対して負荷を段階的に高めて30%の負荷になったら30分運転します。これは消火設備の非常電源容量となる30分連続運転を基準にしています。この間は発電機と擬似負荷装置に1名ずつ配置し、2名が安全監視に当たって、それぞれ計測器で電圧・電流・回転数・冷却温度・潤滑油温度などを記録。異常がないか確認したら発電機を停止し、油漏れや水漏れなど発電機の状態をチェックして完了となります。仮設ケーブルを撤去し、最後に発電機のモードを「試験」から「自動」に切り替えて試験完了です。
当協会では、電気主任技術者と消防設備士の経験と知識で非常用予備発電機などの自家発電設備の負荷運転試験を実施しています。