プロが解決!電気のギモン
「電源タップの過負荷」って何?
~便利だからこそ使い方にご注意を~
家庭内のコンセント不足を補うのが電源タップ(テーブルタップ)。とても便利で現在の電化生活に欠かせない電気器具ですが、じつは使い方を誤ると過負荷になって火災事故を起こす原因にもなります。電源タップの過負荷について、電気保安のプロである当協会の電気主任技術者が説明します。
電源タップの定格電流を知る
消防庁の火災統計によると、過去10年間の電気器具を出火原因とする住宅火災の発火源として一番多かったのは、電源タップです(1919件)。電源タップは1つのコンセントから複数の家電製品に電気を供給するための器具。壁にあるコンセントの差込口を拡張するということで、家電製品の使い勝手がより良くなりますが、そのときに注意しなければならないのが、電源タップに流れる電気の容量です。
電源タップはコンセントに差して電気を流しますが、電源タップの定格電流はコンセントと同じく15A。あるいは12A、10Aのものもあります。たとえば定格12Aの電源タップに複数の家電製品のプラグを差し込んで「2A+3A+3A+5A=13A」のタコ足配線をすると、定格12A以上の電流が流れ、電源タップが過負荷になり加熱してしまい、最悪の場合は発火して火災の原因になります。
コードを束ねて使う危険性
タコ足配線そのものがいけないのではなく、電源タップの定格電流以上のタコ足配線がいけないのです。だからタコ足ではなく一つだけ家電製品を使う場合でも、それが電源タップの定格電流を超える消費電力(W=電圧×電流)のものなら、やはり電源タップは過負荷となります。電源タップの定格電流を確かめ、そこで使用する家電製品それぞれの消費電力を把握して、定格電流を守ってください。
もう一つ、電源タップのコードも取り扱いに注意してください。長すぎて邪魔だといって、コードを束ねたり巻いたりしたままで使用した場合、電気抵抗によってコード内に発生した熱が発散されずに過熱して火災の原因になる恐れがあります。コードは伸ばしたまま使ってください。また経年劣化でコードの被覆が傷んでひび割れていると、漏電の原因につながります。新しい物と交換しましょう。