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避雷針と避雷器の違いは?
~雷害の種類に応じた避雷設備を~
突然空が光って大きな音をとどろかせる雷は、建物の破損や停電、火災、そして感電事故などを引き起こす恐ろしい災害でもあります。そのような雷害を避ける対策となるのが、避雷設備です。避雷設備にはおもに「避雷針」と「避雷器」の2種類があり、それぞれ役目が違います。
人命と建物を守る避雷針
帯電した雷雲と地上の間で大気の絶縁を破壊して発生する放電現象が一般に「落雷」と呼ばれ、地面や樹木、建物などがその放電経路にある場合を「直撃雷」と呼びます。直撃雷のエネルギーは、電圧で200万~10億V、電流では1~500kAにも達します。もし建物に直撃すれば外壁を破損したり火災を起こしたり、内部にいる人間も感電したり火災に巻き込まれたり、甚大な被害になるのです。
直撃雷の被害を防ぐための設備が避雷針。建物の屋根や屋上に細長い棒状の金属を受雷部として設置し、そこから建物外部を通って地面へと導線が続きます。避雷針は、落雷の前に発生する先駆放電を感知するとそれに呼応する迎え放電を出して落雷を誘導して受け止め、直撃雷の電気を安全に地面に逃がすのです。建築基準法に基づき、高さ20m以上の建造物には避雷針の設置義務があります。

電気設備・機器を守る避雷器
雷による被害は直撃雷だけではありません。直撃雷や雷雲間の放電によって電磁誘導された過電流や過電圧が付近の電力線や通信線、テレビのアンテナなどを通して建物内に侵入する「誘導雷」が発生することがあります。また、直撃雷によって付近の大地の電位が上昇し、過電圧や過電流がアースから逆流して電力線や通信線に侵入する「逆流雷」が起こることもあります。
誘導雷や逆流雷は、電力線や通信線を通じて電気設備や機器を破損することがあります。そこで、電気設備や機器を雷の被害から守るために取り付けるのが避雷器です。避雷器は保護対象機器の電源または通信回線引き込み部に接続し、雷の過電圧を対象機器の耐電圧以下に抑制し、雷の過電流をアースへ逃がす働きをします。高圧用、低圧用など、対象機器によってさまざまなものがあります。
