
プロが解決!電気のギモン
どうして感電するの?
~電気が人体に流れる感電の仕組み~
電気が身体に触れてビリッと強い衝撃を受け、痺れることを「感電」といいます。電流が人体を通ることで感電するのです。その感電の仕組みと感電の危険を防ぐための対策を、電気保安のプロである当協会の電気主任技術者がお伝えします。
電流が人体を通って大地へ流れる
電気は通常、行きの電流と帰りの電流の2本の電線で流れています。家庭の電灯回路では行きの電線が100Vの電圧で、もう1本は0V。この電圧の高低差によって初めて電流が流れるのです。電線に止まっている鳥がなぜ感電しないのか。1本の電線に触れているだけだと電圧の高低差がないので電気が流れないのです。大型鳥やヘビなどが2本の電線をまたいで触れると、短絡電流が流れて感電します。
人間の場合はどうでしょうか。人間の身体(足)は通常、大地(アース)につながっています。大地の電圧(電位)は0V。電圧がかかっている1本の電線に触れたとき、電圧の高低差により電線から人間の身体を通して大地に電流が流れて感電するのです(地絡)。電線ではなく、漏電している電気機器の金属部に触れたときも、電気機器から人間の身体を通して大地に電流が流れ、感電します。

水は電気を通しやすい
感による人体への影響の大きさは、流れた電流の大きさ・流れた時間・流れた人体の部位によって変わりますが、電流の大きさによる症状はおよそ次のとおり。1mA:ピリッと感じる程度。5mA:かなり痛い。10mA:耐えられないほどビリビリくる。20mA:筋肉の硬直が激しく呼吸も困難で、引き続き流れると死に至る。50mA:短時間でも生命に関わる。100mA:致命的な障害を起こす。
家庭での感電事故を防ぐポイントは「水」です。水は電気を通しやすく、濡れた手で電気器具やコンセント、プラグなどに触るのは危険。手や足が濡れていると感電した際に人体に及ぼす影響も大きくなり、100Vでも死亡することがあります。また、洗濯機など水回りの電気器具にはアース線の取り付けが必要。万が一漏電が起きてもアース線が漏れた電流を大地に逃がし、感電の危険を少なくします。
