株式会社 高橋商店 さま

お客さま訪問記

株式会社 高橋商店 さま


福岡県八女市本町2-22-1
http://www.shigemasu.co.jp

「繁桝の味」を守るために 麴造りを極め、担い手を育てる

 高橋商店
(左より)フルーティーな味わいと純米のコクが調和した「繁桝 吟のさと純米吟醸」。さっぱりとした飲み口で飲み飽きない「繁桝 手造り本醸造」。酒造りの技の粋を尽くして醸した珠玉の「大吟醸 箱入娘」。

八女の自然と手造りの伝統

清酒「繁桝」は、酒どころ福岡を代表する銘柄の一つ。製造しているのは㈱高橋商店。江戸時代中期に開業し、300年の歴史を八女に刻み続ける蔵元です。
正門から入ると右手には大正時代に建てられた瓦屋根が美しい酒蔵があり、そのそばに風レンズ風車が一基そびえ立っています。「この風力発電システムを酒造りに必要な電力の一部にあてています」と語るのは、19代蔵元・代表取締役の中川拓也さん。「このまま温暖化が進むと酒造りがダメになるかもしれない。脱炭素に取り組んで皆で持続可能な社会をつくらなければ、という思いで設置しました。蔵と地域の将来を守っていくシンボルです」
高橋商店の酒造りの姿勢は、中川さんの代でも変わることはありません。八女の自然と手造りの伝統を受け継ぎ、「和醸良酒」の心で品質第一の酒を造り続けます。

 中川拓也さん
「これまで大切にしてきた麴を核にした酒造りを次の世代に確実に引き継げるよう精進する。それが私の役割」と語る19代蔵元・代表取締役社長の中川拓也さん。

蓋麴オプティマイザ(最適化)

中川さんが追究しているのは、酒造りの命である「麴」造り。手狭になってきた麴室(こうじむろ)に代わって2018年に国内最大規模の天然木の麴室を新設しました。「麴は生き物。居心地の良い天然木の室で育つ麴は、より良いものになる可能性を秘めています」と語る中川さん。「木の麴室を清潔に保つには普段の清掃から神経を使うので、職人として手造りの感性も磨かれていくのです」
また、麴米を小分けして積み上げる麴蓋(もろぶた)すべてに温度計と二次元コードをセット。麴米の温度変化や積み替え工程をデータとしてパソコンで確認できる「蓋麴オプティマイザ」を開発しました。「以前は一人の麴師が泊まり込みで夜通し作業していましたが、そのデータを可視化することで他の蔵人と分担できるようになりました」

 IoT技術
 IoT技術
麴蓋の温度変化をパソコンやタブレット画面で確認できる蓋麴オプティマイザは、麴造りの匠の技を「見える化」したIoT技術。

人口約14億人のインドへ進出

昔ながらの正攻法の酒造りを未来に継承していくために、仕組みやシステムの改良を追求している中川さん。その上で新たなことにも挑んでいます。その一つは熟成酒。「いまの日本酒の味わい方は新鮮さ一辺倒。5年、10年と熟成することで、ワインのように味わいも旨みも香りも違う酒ができるのでは」と中川さんは提唱します。
そして海外進出。2022年に国際基準の食品安全規格「JFS-C」を日本酒の酒蔵で初めて取得し、今年やはり日本酒の酒蔵では初のインド法人を設立しました。「当面は繁桝のラインナップをインドへ送りますが、数年後には日本酒の現地生産もしたいですね」と展望を語る中川さんに、施設の電気設備の保安管理についてご意見を伺いました。「昔のままの木造の蔵には古い電気設備もあるので、電気火災事故が一番心配ですが、九州電気保安協会に万全の管理をしていただいているので安心です」

安納芋
安納芋
(上)瞬間冷凍することで新酒そのままの味わいを長期保存できる冷凍ストッカー。
(下)今年2月、インドの首都ニューデリーに現地法人「シゲマス・インディア」を設立。設立パーティーで繁桝をPRする中川さん。

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