プロが解決!電気のギモン
「標準使用期間」って何?
~家電製品の経年劣化にご注意を~
多くの家電製品は、長期使用に伴う部品の劣化や損傷などによって不具合が生じますが、それでも使い続けると発煙、発火が起こり、火災につながるおそれがあります。家電製品の経年劣化事故の防止について、電気保安のプロである当協会の電気主任技術者がご紹介します。
長期使用製品安全表示制度
消費者庁によると、経年劣化に起因して発生した家電製品の事故は扇風機、照明器具、換気扇、エアコンなどが多くを占め、最も事故が多かったのが扇風機で、すべての家電製品の事故の32.6%を占めています。その扇風機の事故のうち90%は製造後30年以上経過した製品。同様に、換気扇の事故では28件のうち75%は製造後30年以上経過した製品。かなり長期間使用した家電製品は危険なのです。
事故件数が多い家電製品の注意を促すため、経済産業省は長期使用製品安全表示制度を創設。これは2009年4月1日以降に製造・輸入された指定家電製品に「製造年」「設計上の標準使用期間」「経年劣化についての注意喚起」を表示することです。対象家電は扇風機、エアコン、換気扇、洗濯機、ブラウン管テレビの5品目。表示されている標準使用期間が過ぎたら、製品の状態に注意してください。
異常を感じたら使用を中止する
長期使用製品安全表示制度で表示される「標準使用期間」とは、一般的な使用条件の下で使用した場合に安全に使用することができる期間。ただし、使用頻度や使用環境によっては、期間内であっても経年劣化に起因する事故が発生する可能性があります。異音や異臭、振動、発熱、水漏れなどの異常を感じたら早急に使用を中止し、メーカーや販売店に相談して修理に出すか、買い替えを検討しましょう。
さらに経産省では、経年劣化によって火災や死亡など重大事故を起こすおそれがある特定保守製品(石油給湯機、石油ふろがま)を対象に長期使用製品安全点検制度を設けています。対象製品を購入した所有者がメーカーに所有者登録をすると、設計標準使用期間が終わるころに点検通知が届きます。通知が届いたらメーカーに連絡をして、点検を受けてください。