プロが解決!電気のギモン
カミナリの正体は何?
~落雷が発生する仕組みと種類~
眩い閃光と大きな音で私たちを驚かせる雷は、自然界の莫大な電気エネルギーです。では、雷はいったいどうやって発生するのかご存知ですか? 電気保安のプロである当協会の電気主任技術者が、雷発生のメカニズムについて説明します。
雷は大自然が起こす大放電
そもそも雷が発生するもとになるのは雲です。雲は、地表の水が温まって水蒸気になり、空気中のチリと混ざって上昇気流によって上空に昇っていき、地表よりも温度が低い上空で小さな水や氷の粒がたくさん集まったものです。雲がさらに上昇すると温度がどんどん低くなり、雲の中の氷の粒もますます大きくなっていきます。すると氷の粒は重くなって浮いていることができず下降していくのです。
下降する氷の粒同士がぶつかると、摩擦によって静電気が発生します。雲の上部には+電荷で、下部では-電荷。さらに雲の下部の-電荷によって地表では+電荷が誘導されます。そして雲の電荷が蓄えきれなくなると雲の上下間で放電が起こります(雲内放電)。ところが雲の下部が低く垂れこめると地表の+電荷の方が近くなり、大地めがけて放電。これが落雷なのです。
雷鳴の正体と雷の種類
放電された雷のエネルギーは電圧にすると約1億Vといわれ、雷が通るときの周りの空気は一瞬にして約3万℃に熱せられて一気に膨張します。その衝撃波が雷鳴となって聞こえるのです。すぐ近くで雷が落ちると「バーン!」という爆発音や「バリバリ!」という空気を引き裂く音。遠くで雷が落ちると、その音が耳に届くまでいろいろなものに反響するため「ゴロゴロ!」と聞こえます。
雷は多様な種類があります。夏の夕立など、太陽の熱で上昇気流が発生してできた積乱雲による雷は「熱雷」。季節の変わり目に寒冷前線と温暖前線が接する付近で発生する「界雷」。台風の中心付近で発生する「渦雷」。「冬季雷」は冬の日本海沿岸で多く見られ、地面から空に向かって上向きに放電されるのが特徴です。雲ではなく、火山の噴煙による上昇気流で発生する「火山雷」もあります。