いま使わなくていい電気を見つけて切っていく

省エネレポート

いま使わなくていい電気を見つけて切っていく

九州電気保安協会では省エネに取り組む企業や施設をサポートしています。
今回ご紹介するのは、鹿児島・桜島で生コンクリートを製造するエスピー生コン株式会社さま。
取締役工場長の中島務さんに節電について語っていただきました。

電気の基本料金の仕組み

生コンクリートは、材料であるセメントや砂・砂岩などの骨材、水、混和剤をバッチャープラント(塔型階層式の製造設備)上部に搬入。そこで各材料が貯蔵瓶、計量瓶を経てミキサーで練り混ぜられ、プラントの下に待機する生コン車に積まれます。この一連の工程には多くのモーターやポンプ、コンプレッサーが稼働するので、使う電力はとても大きいのですが、昔は電気のことは何も気にしていませんでした。ところが工場の排水処理システムなど環境対策の設備投資をしたところ契約電力が140kW以上まで上がってびっくり。そこで初めて30分ごとの最大デマンド値で一年間の電気の基本料金が決まることを知ったのです。さっそく電気を管理することにしましたが、使用している電気の動きが分からない。そこでECOねっとシステムを導入しました。

エスピー生コン株式会社

電気を見える化した監視システム

このシステムは、使っている電力をリアルタイムでモニターに表示し、目標デマンドに近づくと警報を発するデマンド監視装置。いわば電気を見える化したものです。15年前に導入した当初は目標デマンドを90kWに設定して節電に努めましたが、事務所に設置したモニターからしょっちゅう警報が出るので、そのたびに私は走りました(笑)。工場内を走りに走って「いま使わなくてもいい」電気を見つけて切っていくのです。生コンを製造しているバッチャープラントは止めることはできないので、それ以外の電気機器で「いま使わなくてもいい」ものを走り回ってチェックする。事務所のエアコンや照明も全部切る。従業員にもデマンド制御の仕組みを理解させようと、皆にも走ってもらいました。地下水のくみ上げポンプなどは就業中に動かすとどうしても目標デマンドを超えてしまうので、私が日曜日に出てきて動かしたりしていました(笑)。

エスピー生コン株式会社

モーター類にタイマーを組み込む

ECOねっとシステムでは電気の使用状況を日報・月報・年報にして保安協会から提供されます。そのデータは私だけではなく、従業員一人ひとりに回覧します。また、そのデータと工場すべての電気機器の消費電力を照らし合わせて分析すると、その日の製造計画に合わせて何時にどこの電気を切ればいいかが事前に分かるようになりました。そこで環境設備のモーターや水関係のバルブ、フロートスイッチなどにタイマーを組み込んで、時間を設定して自動で電気をオンオフするようにしました。いまはもう工場内を走り回る必要はありません。
目標デマンドは少しずつ下げていき、現在は80kW。契約電力は77kWをキープしています。たまに始業時に一斉に電気を入れたときに警報が出ることがありますが、その場合も電気の動き方が予想できているので、慌てず騒がず冷静に対処ができます。

エスピー生コン株式会社

従業員全員で考えて行動する

デマンド監視以外にも節電のためにいろいろな工夫をしています。たとえばモーターやポンプ類は運転能力を分析して、もっと小さな、消費電力が低いタイプのものに更新しました。
生コンの製造プラントの操作室は事務所内にあり、プラント内を監視するモニターが並んでいますが、適正な時間を空けて製造する場合には、その待機時間のたびにモニターの電気を切るなど、細かい節電をしています。事務所のエアコンは扇風機と併用し、照明はすべてLEDにしています。従業員は皆、普段から節電意識は高いのですが、人間だから「うっかり消し忘れ」があります。うっかりをとがめることはしたくないので、事務所やトイレなどの照明には人感センサーを付けています。
皆で考え、皆で行動する──これが当社の節電です

エスピー生コン株式会社

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