プロが解決!電気のギモン
コンセントの「定格電流」って何?
すべての電気器具には定格があります。電気器具を安全に使うための使用制限を意味します。その中で、最も注意していただきたいのが「定格電流」──「安全に使用できる電流の量」です。電気保安のプロである当協会の電気主任技術者が、コンセントの定格電流について説明します。
コンセントの定格電流は15A
電気器具を使うときに何気なくプラグを差し込んでいるコンセントをよく見ると「15A 125V」という数字が記されています。これがコンセントの一般的な定格で、定格電流が15A、定格電圧が125V。その値を超えて使えないことを意味しているのです。でも一般家庭や低圧事業所ではコンセントは100Vであることが多いので、定格電圧はとくに気にすることはありません。問題なのは定格電流です。
すべての電気器具はそれぞれ消費電力(W=電圧×電流)が違います。たとえば消費電力600Wのトースターでは6Aが流れ、消費電力1,000Wの電子レンジでは10Aが流れます。もしこの2つの家電を1つのコンセント2口につないで同時に使うと、「6A+10A=16A」となり、定格電流の15Aを超えてしまいます。このような場合は、2つの電気器具を別々のコンセントにつなぐようにしましょう。
タコ足配線は危険
コンセントの定格電流を超えて電気を使うとどんな危険があるのか。たとえば前述のトースターと電子レンジを同時に使用して16A。分電盤の安全ブレーカーは通常20Aが使用されているので、16Aの電流が流れてもブレーカーが電気を切ることはありません。そこでそのまま使っているとコンセント部分で過負荷になり、過熱してしまい、最悪の場合は発火し火災の原因になる恐れがあるのです。
テーブルタップ(延長コード)にはいくつもの差込口があって便利ですが、じつはテーブルタップにもコンセントと同じく定格電流が記されており、15Aあるいは定格電流12Aや10Aのものもあります。従ってテーブルタップに複数のプラグを差し込むタコ足配線にすると、定格電流を超える恐れがあります。安易にタコ足配線をしないで、電気器具それぞれの消費電力を把握し、定格電流を守ってください。