火災から生命・財産を守る消防設備の点検

現場レポート

火災から生命・財産を守る消防設備の点検

いざというときに機能を発揮するのか?
火災から生命・財産を守る消防設備の点検

施設に設置された消防設備は消防法に基づいて定期的に点検し、報告しなければいけません。
九州電気保安協会では、お客さまの消防設備の点検・整備・報告書の作成を行っています。
今回は消防設備の点検事例を、当協会長崎支部の金山健一がお伝えします。

警報・消火・避難設備を確認

消防設備とは、火災報知器や館内放送設備などの「警報設備」、スプリンクラーなどの「消火設備」、誘導灯や救助袋などの「避難設備」と多岐にわたり、その一つ一つに細かい点検基準と要領が法令で定められています。これらの設備点検を実施するのは消防設備士の有資格者です。私が消防設備点検を担当しているお客さまのクリーンパーク(廃棄物処理施設)では、年2回の機器点検と1回の総合点検、その報告書を3年に1回、所轄の消防署に報告しています。

消防設備の点検

歩行距離20m以内に消火器設置

クリーンパークの工場棟・管理棟に設置している粉末消火器は40本余り。まず設置状況の点検から始めます。歩行距離20m以内に消火器を設置することが定められているため、直線距離ではなく実際に歩いて20m以内になっているかを点検します。さらに、床からの高さ1.5m以下に設置して「消火器」の標識を見やすい位置に付けているかを確認します。次は外形点検。本体容器や安全ピン、ホース、ノズルなどに異常がないか、細かく目視点検しながら丁寧にほこりなどを拭き上げます。安全ピンが外れている消火器があれば使用した可能性があるので、重量を測定して薬剤量を点検します。圧力計が付いている消火器はその数値をチェックします。なお、設計標準使用期限を過ぎた消火器は新品への取り替えを推奨しています。

消防設備の点検

消防設備を細かく点検

避難口や避難経路を示す誘導灯は常時点灯していますが、停電が発生した非常時には内蔵バッテリー電源に切り替わって20分以上点灯することが消防法で定められています。まず目視点検をすると、消灯している誘導灯を発見。調査をすると空調配管からの漏水によって誘導灯器具が不良になったことが判明し、配管を修理してもらった上でその誘導灯を交換しました。そのほかにもバッテリーの容量を点検し、非常点灯に切り替えて20分持続するか確認。他の施設ではバッテリー不良のケースが多いのですが、ここはすべて正常でした。専用回路の開閉器・遮断器、絶縁抵抗なども点検します。
非常放送設備の点検では、スピーカーの音圧が等級別に定められた数値以上であることが求められますが、まったく音が出てないスピーカーがあったので早急に交換を行いました。
非常電源(自家発電設備)は、消防法では年に1回の総合点検で運転性能を確認する負荷試験を行うことが定められています。運転時間はとくに定まっていませんが、当協会では最低30分の連続運転を行っています。

消防設備の点検

誤作動する感知器に注意

消防設備士として皆さまに注意していただきたいのは、誤作動しがちな感知器。そのまま使っていると、緊急時に警報が鳴っても「どうせまた誤作動だろう」と気の緩みを起こします。速やかに誤作動の原因を調べて、整備や交換など適切な処置をすることをおすすめします。

使用期限を過ぎた
消火器は危険です。
速やかに交換を!

九州電気保安協会
長崎支部
技術部技術グループ
金山 健一
金山 健一
今日もどこかで

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