工程の順番をずらしながら電力使用を平準化する

省エネレポート

工程の順番をずらしながら電力使用を平準化する

九州電気保安協会では省エネに取り組む企業や施設をサポートしています。
今回ご紹介するのは、日本屈指の石灰石産地・津久見の石灰メーカー、株式会社丸京石灰さま。
生産課長の安藤浩秋さんに節電について語っていただきました。

株式会社丸京石灰
株式会社丸京石灰 さま 大分県津久見市徳浦2052-5

1895年創業。建築用しっくいを中心に、工業用、防疫消毒用、肥料用、食品添加用などの生石灰・消石灰を手がける総合メーカー。伝統焼成の石灰と天然素材にこだわる。

デマンドを知る

当社では、使う電力の大半がさまざまな製造ラインの機械です。以前は電気の使い方を意識したことがなく、デマンドのことも理解していませんでした。ある月の電気料金をチェックしてみると、使用電力量は前月と同じなのに料金は高くなっている。そこで問い合わせてみると、その月の30分ごとに計測した電力のデマンド値で1年間の契約電力─基本料金が決まることを知りました。当社では午前10時〜11時に集中して機械が稼働することが多く、そこでデマンドがぐっと上昇したのかもしれません。このままではまずいと保安協会に相談し、「電気の見える化」を図るためにデマンドを監視するECOねっとシステムを導入することにしました。それが2015年4月のことです。

株式会社丸京石灰

130kWの契約電力を100kWに

導入の際には、それまでの契約電力が解除され、新たに目標デマンドを設定することになります。それまでの契約電力は130kWだったので、目標値デマンドを100kWに設定。導入して実感したのが、電気が見えるようになったこと。事務所に設置したECOモニターにはリアルタイムで使用電力量が表示されますし、その数字が上がっていって目標デマンドに近づくと警報で教えてくれます。警報の他に、担当者の私に保安協会から警告のメールが入ります。
導入直後には早くも警報が鳴りました。午前10時半〜11時の30分間で、やはり機械が集中して稼働する時間帯。すぐに場内放送で工場に指示し、途中で止めても差し支えない機械を一時停止しました。

工程の段取りを見直す

機械の集中稼働がデマンドを押し上げることがはっきりしたので、日単位、週単位の工程の段取りを見直しました。その日その時間に稼働しなければならない工程と、時間をずらしたり翌日に回したりできる工程があるので、製造ラインの重要度を考慮しながら工程の順番をずらすことで電気の平準化を図ったのです。この段取りをしていくうちに、例えばAラインとCラインを組み合わせると95kW、BラインとDラインなら85kW……と使用電力を頭の中で計算できるようになりました。
最近では警報が鳴るのは年に2回か3回。操業開始時間の8時〜9時にラインが一斉に立ち上がることで、電力が上がりがちになります。それでも最大デマンドは抑えています。現在も目標デマンドは100kWのまま。契約電力は99.7kWです。

株式会社丸京石灰

機器を省エネタイプに交換

デマンド監視以外の節電としては、機械の更新による省電力化があります。電力が大きいのはコンプレッサーで、当社では製造した石灰を各タンクに空気で圧送するコンプレッサーが20kWでしたが、同じ能力の新しいものに更新すると16、7kWに下がりました。古くなったモーターもコンパクトで省電力のタイプに交換するようにしています。照明に関してはまだ蛍光灯が残っており、工場では水銀灯も使っているので、この夏にLED化する予定です。節電対策は他にもありますが、当社のような工場では、基本的に機械のメンテナンスをおろそかにしないこと。ちゃんと整備している機械は余分な負荷がかからないので、エコにつながるのです。

株式会社丸京石灰

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