原因は意外なところにあった漏電事故の事例紹介

現場レポート

原因は意外なところにあった漏電事故の事例紹介

九州電気保安協会では、お客さまの電気設備に漏電が発生した場合、いつでも現場に駆けつけて対応します。
今漏電している回路を特定し、漏電の原因となっている箇所を見つけ出し、再発防止の処置をします。
今回は、さまざまな原因で漏電事故が起きた事例を、当協会佐賀事業所の江副匠哉がご紹介します。

事例① 配線の被覆が圧迫破損

当協会の絶縁監視装置が漏電の発生を感知したので、該当するお客さまの事業所に駆けつけました。分電盤のブレーカーを調べて漏電している回路を特定し、その回路の電気機器を目視していくと、照明の配線が金具に挟まれて被覆が破損している箇所を発見。むき出しの線が金具に接触して漏電したのです。お客さまに確認したところ、その照明はずっと変わらずそこにあるということから、施工時に誤って配線を金具に挟み、経年のうちに振動などで被覆が劣化したものと思われます。

事例② コンセントの配線ミス

一般的に分電盤には漏電遮断器が組み込まれており、漏電を感知すると自動的に停電します。しかし次に紹介する事例では古いタイプの分電盤で漏電遮断器がなく、代わりに漏電警報器が取り付けられていました。警報が鳴ったという連絡で駆けつけましたが、停電していないのでクランプメーターを使ってくまなく調べていったところ、あるコンセントから15Aの漏えい電流が確認されました。そのコンセントを壁から取り外して本体の裏を見ると、アース線が接地極の端子ではなく、増設コンセントに電気を分岐する渡り配線用の電路端子に接続されている。ここから電気がアース線を伝って地面にどんどん漏電していたのです。明らかに配線ミス。お客さまの話では新たにここで電気工事をしていないということで、めったにない事例ですが施工時の電気工事士の初歩的なミスです。

事例③ 屋外照明に雨水が浸入

お客さまの施設の定期点検時、外壁に取り付けられた照明器具のカバー内に水が半分ほどたまっているのを目視で発見。雨水が浸入していたのです。すぐさまカバーを外して排水しました。これをもし見過ごしていたら、たまっていった水が照明本体まで浸入して電路や絶縁体の隙間に流れ、漏電を引き起こします。お客さまに照明器具のカバー取り付け部のパッキン交換をお願いしました。屋外照明の漏電事故は多く、とくに足元の埋め込み型照明は漏電しやすいので、お客さまに注意喚起しています。

梅雨時は漏電に要注意

不適切な電気工事や電気機器の経年劣化、破損など漏電の原因はいろいろありますが、実際に私たちの現場で一番多い漏電の原因は「水」。例えばトイレの掃除で水を使って、それがコンセントにかかると漏電の危険に。食品工場など水を使う事業所も漏電事故が起こりがちです。また、湿度が高い梅雨時は漏電が発生しやすい。プラグ・コンセントの周辺や電気機器の内部にたまったほこりが湿ると、それが電気の通り道になるのです。ほこりがたまらないようこまめな掃除をお願いします。
漏電事故の連絡が入った際に私が心がけているのは、一刻も早く現場に駆けつけること。感電や火災につながる危険を早く解消することはもちろんですが、漏電が続かず時間が経つと漏電しなくなるといったケースもあり、漏電している状態でしか原因箇所を追跡できないので、現場へ急ぐのです。

事例① 配線の被覆が圧迫破損
英彦山神宮奉幣殿

オフィスの照明の配線が金具に挟まれたまま、長い期間、気づかれず徐々に被覆が劣化し破損した例です。施工時のミスが、時間が経ってから配線に影響を及ぼす結果となりました。

事例② コンセントの配線ミス
点検内容を確認

コンビニエンスストアで起きた事例です。電気の配線工事の際、アース線を誤った端子(🅐)に接続したことで漏電が発生。初歩的な工事ミスによる漏電です。電気工事を行う時は、慎重に作業してください。

事例③ 屋外照明に雨水が浸入
検電器

屋外照明のカバーのパッキンが緩み、雨水が入り込んだ例。右の写真の色が変わっている箇所が、たまった雨水のシミです。雨水が電気の接続部分に到達する前に発見できたため、漏電を防ぐことができました。雨水が入り込んでいないか、日ごろから確認しておくことが大切です。

一刻も早く現場に駆けつけ事故原因を究明します!

吉岡源吾
九州電気保安協会
佐賀支部
佐賀事業所
江副 匠哉

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