出光美術館(門司) さま

お客さま訪問記

出光美術館(門司) さま

北九州市の門司は、出光興産創業の地。2000年、創業者である出光佐三氏が蒐集(しゅうしゅう)した美術工芸品を中心に展示する美術館として門司港レトロ地区に開館した出光美術館(門司)さまを訪問しました。

出光美術館(門司)
出光美術館(門司) さま (公益財団法人出光佐三記念美術館)
福岡県北九州市門司区東港町2-3
http://s-idemitsu-mm.or.jp/

門司港の新しい顔として

出光美術館(門司)の前身は、福岡市に開館していた福岡出光美術館。門司への移転に伴って財団法人を再発足し、門司港レトロ地区で昭和初期に建てられた倉庫を改装して出光美術館(門司)が開館しました。同館のそば、鎮西橋交差点の近くには、出光商会の創業地があり、説明板が設置されています。
2016年、同館は全面改築し、新たな美術館に生まれ変わりました。「それまでの倉庫を改修した建物では、高潮などの水害への備えに不安があったのです」と語るのは副館長の髙橋一壽さん。「新たな展示室は常に温度25℃・湿度50%を保ち、出光コレクションの主軸である日本・東洋の美術作品を鑑賞するのに最適な、落ち着いた空間になっています」
そうした出光美術館(門司)の建物は、北九州市都市景観賞を受賞しています。

約1万件の出光コレクション

出光美術館(門司)では、日本の書画、中国・日本の陶磁器など東洋古美術を中心にした出光コレクションの中からテーマに沿った作品を厳選し、年5回の企画展を開催しています。いま開催中なのは「色絵と染付──華麗なる装いのうつわ」(3/26まで)。主に中国で誕生し、進歩発展してきたさまざまな装飾技法や文様から、色絵と染付という対比的な技法を取り上げ、各国各時代の逸品を展示しています。
出光コレクションは、出光佐三氏が蒐集した美術品を核に、国宝2件、重要文化財57件を含む約1万件の作品で形成され、東京の出光美術館が収蔵・管理しています。「美術品の蒐集はいまも行われ、最近では著名な日本美術コレクターであるエツコ&ジョー・プライス氏のコレクション約190件を新たに収蔵しました」と髙橋さん。「その中から伊藤若冲など江戸絵画をテーマにした展覧会を、東京での開催に続いて当館でも行う予定です」

史料室で佐三氏を知る

出光美術館(門司)では美術展示室のほかに、出光興産の創業者で出光美術館の創設者でもある出光佐三氏の生涯と出光興産の歩みを紹介する出光創業史料室を併設。中に入ると佐三氏が出光商会の創業時から終生愛用した執務机がシンボル的に置かれ、そこから映像や年表パネル、ジオラマ、3DのCGなどを見ながら順路を回ることで出光佐三氏を知り、その業績を学ぶことができます。「佐三は一貫して人間尊重を掲げ、事業を通じて人を育ててきました」と髙橋さん。「互譲互助の精神のもと、人を中心とした世の中の必要性を、この史料室から伝えていきたいですね」と思いを語っていただきました。
もう1つのお楽しみ、ミュージアムショップでは佐三氏がこよなく愛した仙厓(せんがい)の作品をあしらったオリジナルグッズを数多く取り扱っています。
最後に、施設の電気設備の保安管理についてご意見を伺いました。「美術品の温湿度管理で電気は切らすことができないもの。九州電気保安協会には昨年、定期点検時にキュービクル内の支持碍子(がいし)の劣化を早期に発見してもらい、電気事故を未然に防止することができました」

出光創業の地に立つ門司港レトロの美術館

出光美術館
美術工芸品の展示を通じて、地域文化の発展向上に貢献している。
色絵と染付
3月26日まで開催中の「色絵と染付」では、有田焼のデザインに影響されたマイセン窯の洋食器(18世紀)など、面白い作品が並ぶ。
上原昭芳さん
館内をご案内いただいた出光美術館(門司)副館長の髙橋一壽さん。出光佐三氏をテーマにした講演活動なども行う。
ドライブレコーダー
一筆箋やマスキングテープなどの文具から、茶席で愛用される和三盆(わさんぼん)や懐紙まで。館内のミュージアムショップでは、オリジナルの仙厓グッズを中心に取り揃える。
霧島レイ
併設の「出光創業史料室」には、出光佐三氏が使っていた机や出光商会時代の法被などを展示。佐三氏をモデルにした映画「海賊とよばれた男」の世界を体感できる。

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