電気保安管理のDX「スマート保安」とは?

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電気保安管理のDX「スマート保安」とは?

デジタル技術によって仕事や暮らしを変革するDX(デジタルトランスフォーメーション)。
その波は電気保安の分野にも広がっています。
今回はデジタル技術とデータを活用した「スマート保安」を紹介します。

電気保安の分野をとりまく課題

経済産業省とエネルギー産業の業界代表で構成されるスマート保安官民協議会は、「電気保安をとりまく 現状の課題」として、以下の項目を挙げています。

人材不足
需要設備の高経年化や再生可能エネルギーの発電設備増加の一方で、少子高齢化・人口減など社会構造の変化により、電気保安に携わる人材の確保が難しくなっています。

災害の激甚化
台風や豪雨など自然災害の激甚化・頻発化に伴い、太陽光発電所や風力発電所の事故が増加しています。

感染症への対策
社会がコロナ下にあっても、電力は供給を止めることができない重要インフラ。その環境の中で安定した電気の保安業務を継続していくことが求められます。

こうした課題を克服していくため、IoT(モノがインターネットで通信する機能を持つ)やAI(人工知能)、ドローンなどの新たな技術を導入することで電気保安をスマート化し、保安力の維持・向上と生産性向上を両立することが重要なのです。

ドローンの活用

太陽光発電設備のパネルでは、鳥のフンや落ち葉などの付着により発電量が低下する ホットスポット(過熱箇所)が発生することがあります。ドローンに赤外線カメラを搭載し、上空から広範囲のパネルを一度に撮影することで、人の目で確認できないホットスポットを検出することができます。人の手で1枚1枚点検する方法に比べて点検時間と人員を大幅に節減できます。

モジュールの表面温度を観察することで、不具合箇所を短時間で特定できる。
※上の写真は赤外線カメラの映像(イメージ)送電線

タブレットの活用

電気設備の点検記録をタブレットへ入力。点検を行う際、過去の点検記録等をタブレットから容易に引き出せるため、円滑な作業を行え、保安水準を高めることができます。

送電線

課題解決に向けた「スマート保安」

現在、経済産業省では、電気保安のスマート化を推進しており、2025年度を目途に「スマートキュービクル」の社会実装を目指しています。
スマートキュービクルとは、カメラによる機器の監視等により遠隔で点検ができるもので、新規に設置したお客さまの需要設備については、電気主任技術者が行うキュービクルの定期点検において遠隔代替が可能となり、現場への移動負担などが軽減されます。(遠隔代替を可能とする法改正は実施済です)
既設キュービクルへの遠隔点検については、経済産業省はスマートキュービクルの設置状況を見て検討を進める計画です。
今後、スマート保安は、遠隔監視技術による現場巡回点検の遠隔代替や作業の合理化だけではなく、各種センサーから送られてきたデータをAI解析し異常予兆を検知するなど、事故の低減が期待されています。

AI導入イメージ

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