省エネレポート
エアコンの出力制御で快適節電
九州電気保安協会では省エネに取り組む企業や施設をサポートしています。今回ご紹介するのは、電子部品や燃料電池、プラスチック成形品を製造するサンコーテック株式会社さま。代表取締役の下野浩毅さんに節電について伺いました。
- サンコーテック株式会社 求名工場 さま 鹿児島県薩摩郡さつま町求名2646-1
- (株)サンコー電機より分社独立・事業の譲渡を受け、2003年に設立。電子部品の製造・検査、紫外線殺菌装置の製造、燃料電池の発電部品製造、硬軟プラスチック成形品製造などを行う。
最大デマンドを下げる
当社の生産拠点は大口工場(伊佐市)と求名工場(さつま町)で、どちらも月額百万円単位の電力を使っています。生産設備にかかる分は節電することはできません。でも電力量が最大となる夏場の11時〜16時にエアコンの使用を控えてピークカットすれば、年間の契約電力を下げることができると知り、電気保安協会の提案でECOねっとシステムを導入しました。これは30分毎のデマンド値を監視して「電気の使いすぎ」を警報で知らせるシステム。警報が鳴ると手動でエアコンを切っていきます。でも夏のピーク時は警報が頻繁に鳴って、その都度エアコンのオン・オフに走り回って手間がかかり、管理しきれない。そこで、そのエアコンを自動制御するシステムを導入しました。
ECOねっと+無線式制御システム
このシステムは、ECOねっとシステムからの警報信号を受けて無線でエアコンを制御するもの。たとえば警報が「注意」ならエアコンの室外機の出力を60%に、「限界」なら40%に自動制御してくれます。手動で停止する必要はなく、コンプレッサーのインバーターのみを自動制御して送風を継続するため、室温の変化が小さく誰も気づかないほど。皆安心して仕事に専念できます。求名工場の場合、2年前には契約電力が437kWだったのですが、ここ1年は394kWに抑えられています。
生産設備の使い方を工夫
生産設備・機器は使用電力が大きいけれど、基本的に節電することはできません。しかし使い方を工夫することでデマンドの上昇を抑えることはできます。最も電力を使うのは18台の電気炉。これらを一斉に稼動しないよう生産計画を立てています。とりわけ1300℃の高温で稼動する電気炉は計画に支障がなければ、なるべくピーク時を避けて稼動するようにしています。また長期の休み明けで電気炉を立ち上げる際には一気に稼動温度にせず、低出力で24時間かけてゆっくり温度を上げていきます。時間はかかっても電気の負荷は小さいのです。
電気の月次データを皆で共有
そのほか、夏場のエアコン負担を減らすため工場の屋根には地下水を使ったスプリンクラーを設置。遮熱塗装も採用しています。これらは全て従業員の工夫から生まれた節電対策です。当社では安全衛生委員会で電気の月次データを開示し、その数字を社内で共有。月に一度のエアコンフィルターの掃除も従業員たちの手で行っていることもあって、省エネ・節電への意識は高いと思います。皆で頑張って節電すれば、数字となって会社の業績に反映されるので、その分を賞与という形で還元できます。また大口工場で設置している太陽光発電システムがある程度の実績を出しており、求名工場でも導入を検討中です。電気以外の省エネとしては、当社で排出する廃プラスチックの分別による再資源化を進めています。