浜嶋酒造合資会社 さま

お客さま訪問記

浜嶋酒造合資会社 さま

大分県豊後大野市の緒方平野は久住山系の豊かな伏流水に恵まれた肥沃な米どころ。この地で「美酒探究」を永遠のテーマとして、こだわりの銘酒を追求する浜嶋酒造合資会社さまを訪問しました。

浜嶋酒造合資会社
浜嶋酒造合資会社 さま 大分県豊後大野市緒方町下自在381
https://www.takakiya.co.jp/

日本酒に開眼して蔵元杜氏に

初めて日本酒に目覚めたときの味を「雪解け水のごとく口にすうっと入って、キレがよかった」と思い出すのは、明治22年創業の造り酒屋「鷹来屋たかきや」の長男として生まれ、現在は浜嶋酒造の蔵元杜氏を務める浜嶋弘文さん。15歳のときに蔵が製造を休止、委託醸造での販売になったこともあり、大学卒業後は家業を継がず、精密機器メーカーの営業マンになりました。しかし東京で過ごした大学時代にたまたま新潟の銘酒を飲み、「こんな旨い酒があったのか」とカルチャーショックを受けた味が忘れがたく、なんとか自分の手で酒造りをしたいという思いを募らせていったそうです。
やがて実家に帰った浜嶋さんは国税庁の醸造試験所に入所して酒造りの理論を学びました。次に実践として数か所の酒蔵で蔵人修業をした後、平成9年に杜氏として酒造りを開始。17年ぶりに造り酒屋を復活させたのです。

完全手づくりだからできる酒の味

新たに造った酒の銘柄はかつての屋号から「鷹来屋」と命名。「私が理想とするのは究極の食中酒」と浜嶋さんは語ります。「キレと旨味を兼ね備え、呑み疲れることなく料理の邪魔をしない穏やかな酒を目指しています」
鷹来屋は仕込みの全工程が手づくり。「昔ながらの手法で五感を頼りに手間暇かけて醸造することでしか出せない味があるのです」。たとえば発酵して出来た「どぶろく」状のもろみを濾して透明な清酒にするのは、酒袋をふねの中に敷き詰める「槽搾ふなしぼり」という手法。自動圧搾機に比べて時間と労力がかかりますが、酒袋の自重で優しく搾るので、雑味が出ません。ちなみに全量槽搾りを行っている蔵は全国でもほとんどないとのこと。
また手づくりにこだわる故に年間生産量は最大600石(1升瓶6万本)ほどですが、「できる範囲の量を一生懸命造って、その1本1本が販売店を通じて多くの人に飲んで喜んでもらえればいい」と穏やかに語る浜嶋さんです。

自耕自醸で真の地酒を目指す

浜嶋酒造では平成18年から米作りにも取り組んでいます。いまは「山田錦」や地元の品種「大分三井」など5品種を栽培。「その地の気候、その地の水と米、その地の人で造るのが、真の地酒」と浜嶋さんは語ります。「目指すのは自耕自醸の酒造り。仏・ブルゴーニュでは葡萄農家がワインを醸造しており、そこからロマネ・コンティが生まれている。私は杜氏として、気候と水と米、そして人に恵まれたここ緒方でそんな酒造りをやりたいのです」
酒蔵には鷹来屋の豊富なラインナップを販売する店舗を併設。茶房「ささら」では、仕込み水で入れた珈琲や「きき酒セット」、日本酒や酒粕を使ったスイーツなどが好評です。そして来春には「鷹来屋ガーデンささら(仮称)」がオープン。「ランチの提供や米栽培・酒造りの体験教室など、発酵食文化を伝承し交流が生まれる施設にしたい」と構想を語る浜嶋さんに、酒蔵の電気設備の保安管理についてご意見を伺いました。「酒造りは水が命。以前、地下水を汲み上げるポンプが壊れたときに保安協会の担当者はいち早く対応してくれました。365日24時間対応だから何かあればいつでも連絡。頼りにしています」

こだわればこだわるほど奥深くなる酒造りの世界

日本酒
季節限定品なども含め、年間を通して約20種類の日本酒を製造。
店舗
酒蔵と直結した店舗では、造り手のアドバイスを受けながらお酒選びができる。
浜嶋弘文さん
「売上至上主義でたくさん製造するのではなく、自分たちが手づくりできる範囲で、鷹来屋のファンに楽しんでいただけるよう、こだわりのある酒造りをしていきたい」と語る、浜嶋酒造合資会社 蔵元杜氏の浜嶋弘文さん。
エントランス
上)酒造りをしない閑散期の夏場は日本酒の原料米を自家栽培。一年を通して日本酒と向き合う。(下)四角い槽に酒袋を積み重ねて入れ、酒袋の自重で日本酒を搾る「槽搾り」。槽には300袋が入る。
cafe miraino
併設の茶房「ささら」ではじっくりと丁寧に搾汁した濃厚な「手づくりぶどうジュース」や、鷹来屋の特別純米酒を使った大人のための「日本酒プリン」など、浜嶋酒造ならではの逸品が楽しめる。

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