省エネレポート
気づかないうちに節電
九州電気保安協会では省エネに取り組む企業や施設をサポートしています。今回ご紹介するのは、総合解体工事業界のリーディングカンパニー、株式会社前田産業さま。代表取締役社長の木村洋一郎さんに節電について伺いました。
- 株式会社前田産業 さま 熊本県熊本市南区野田3-13-1
- 1962年創業。総合解体工事・(特別管理)産業廃棄物処理・再生品販売を手がける全国トップクラスの企業。「全社員とその家族の物心両面の幸福を追求する」を理念に掲げる。
照明はLED+人感センサー
電気といえば、私は阿蘇の山村で育ち、子ども時分は灯油ランプの掃除が日課。電気は通っていましたが、その当時は居間の裸電球しか使うことができない貴重なもので、親から「電気は大切なものだから、使い過ぎたらいかん」と言われていたことを思い出します。当社では2019年に本社屋を建て替えましたが、その際に空調をすべて省エネ型にしました。照明もLEDに変え、廊下やトイレなどには人感センサーを設置。さらに翌2020年には、デマンドを監視するECOねっとシステムを導入し、目標電力の超過が予想されるときは警報で知らせてもらうようにしました。
30分間の電気の使い過ぎが仇に
当社の事業年度の始まりは8月で、例年、全国9カ所の支店などに勤務する社員も参加して熊本のホテルで決起集会を開いています。しかし、コロナ禍の2020年は参加人数を絞り、各支店とはリモートで繫ぎ本社で開催することにしました。「3密」を避けるために、大会議室や応接室などあらゆる部屋に人を分散し、さらに扉や窓を開放した状態で空調をフル稼動したのです。コロナ下でもこういう形で決起集会を開くことができたことに満足したのですが、後になって、そのときの最大デマンドが契約電力(56.8kW)をはるかに上回る90.7kWだったことが発覚。具体的には、8月8日の9時半から10時までの30分間で電気を使い過ぎたばかりに、その後1年間の電気基本料金が2倍になってしまったのです。ECOねっとシステムを導入したばかりの時期で、皆が対応に慣れていなかったこともありますが、正直言ってそのときは電気のことなど頭になかったのです。
空調を止めない自動制御
その反省から電気保安協会の提案で、ECOねっとシステムと空調設備との間を信号で結ぶ「自動制御装置」を設置しました。目標電力の超過が予想される場合に空調を自動的に制御する装置で、ECOねっとシステムの警報が「注意」になると空調を50%運転にし、「限界」で送風に切り替えるので、快適さはほぼ失われません。ほとんどの人が気付かないうちに空調を制御するのです。自動制御装置の設置に伴って、警報をブザーで知らせるECOモニターは不要になり、代わりに総務課のスタッフにメールでお知らせが届く仕組みになっています。
電気の切り忘れに注意
この自動制御装置を設置して以降、目標デマンドを45kWに設定しました。来客のある応接室の空調などは自動制御から外しているので、その使用分を加えて現在は52.6kWの契約電力を維持しています。しかし一方で、自動制御は無駄な電気を発見して自動で切ってくれたりはしません。誰もいない部屋で空調を切り忘れたり、照明がついていたりすることのないよう皆に周知徹底させ、節電意識を高めています。また当社では働き方改革の一環として、事務スタッフは退社時間の17時半になったら一斉にパソコンをシャットダウンし、一切残業しない。そういうことも省エネにつながっているのではないかと思います。