現場レポート
停電時に確実に発電するための 試験・技術業務 非常用予備発電機の総合点検
台風や地震、火事などで起こる不意の停電に対して、引き続き電気を安定供給する非常用予備発電機。
九州電気保安協会ではその発電機がいつでも確実に発電するための定期的な点検を実施しています。
今回は「非常用予備発電機の総合点検」について、当協会宮崎支部の松元文彦がお伝えします。
停電に備える非常用予備発電機
非常用予備発電機はディーゼルエンジンなどの原動機を用いて発電を行います。電力会社からの電力供給が途絶えて停電すると、自動的に原動機が起動して発電し、発電機からの電力供給に切り替わるのです。非常用予備発電機は常に安定した電力を必要とするさまざまな企業・施設に設置されていますが、特にスプリンクラーや消火栓を備えた施設や人命を預かる病院などにとっては極めて重要な設備です。
非常用予備発電機の負荷試験
停電発生時に発電機が正常に稼動しなければ停電したままになり、消防機器などが働かず、人命に関わるような大変な被害を招くことにもなります。そのような事態にならないよう、消防法に基づく1年に1回の「非常用予備発電機の総合点検」では、停電時に発電機が負荷となる機器へ電気を供給している状態を再現する負荷試験を実施することが義務付けられています。その際、非常時に発電機から電力を供給する消防機器等、実際の機器を利用して試験(実負荷試験)を行いますが、試験をするためには停電させる必要があります。当協会では発電機を施設の負荷と切り離して擬似負荷装置に接続する擬似負荷試験をおすすめしています。
擬似負荷試験の手順
発電機からの非常回路を通常回路から切り離し、発電機と擬似負荷装置をケーブルで接続する。こうすることで施設を停電せずに試験を行うことができるのです。次に発電機を運転させます。最初は負荷をかけずに運転して、異常がなければ擬似負荷装置を使って負荷をかけていきます。発電機容量に対して負荷を段階的に30%まで調整し、30分間運転します。その間は10分ごとに発電機の電圧・電流などを計測しながら記録。異常がないか確認したら発電機を停止し、油漏れや水漏れなど発電機の状態をチェックして完了となります。すべてのポイントを確認して、発電機の非常回路を元どおり通常回路に接続して撤収します。
電気のプロとして
点検は発電機側と擬似負荷装置側、そして専任監視と3名以上の作業体制。要する時間は準備から撤収まで3時間ほどです。また当協会では小型軽量の低圧擬似負荷装置(220V 28kW)を保有しているので、屋上に設置された発電機の試験でもエレベーターで運搬することができ、移動スペースが狭い所も対応できます。大きな容量の発電機でも、この装置を複数台つなぐことで対応できます。
発電機に擬似負荷装置を接続する場合は、回路を誤り不必要な停電を発生させることや感電してしまう恐れがあるため、作業者は電気設備を熟知しておく必要があります。当協会は電気主任技術者である電気のプロが作業を行うため、安心してお任せいただける体制で業務を実施しています。
擬似負荷試験の際、非常用予備発電機につないで負荷をかける擬似負荷装置。小型軽量の低圧擬似負荷装置(220V 28kW)なら、狭いスペースや屋上などの高所にある発電機でもスムーズに接続できます。
擬似負荷装置で非常用予備発電機に負荷をかけ、発電機の電圧や電流、回転数、冷却温度、潤滑油温度などを計測します。発電機盤に表示されるデータを記録し、発電機の運転状態に異常がないかを確認します
非常用予備発電機の運転データの計測に加えて、油漏れや水漏れがないかも確認します。発電機の状態を総合的に診断し、いざというときのために備えます。
非常用予備発電機の点検は当協会の最寄りの事業所までご相談ください!