些細な節電をコツコツと

省エネレポート

些細な節電をコツコツと

九州電気保安協会では省エネに取り組む企業や施設をサポートしています。今回ご紹介するのは、水の都・島原の美しい有明海を望むリゾートホテル「HOTELシーサイド島原」さま。支配人の本多寿光さんに節電について伺いました。

HOTELシーサイド島原さま 長崎県島原市新湊1-38-1
湧き水と歴史の街・島原の港を望む、くつろぎの温泉リゾートホテルとして2012年に開業。2017年にオープンした新館と合わせ、現在全84客室を誇る。

電気の使用状況を24時間監視

ホテルは季節によってお客さまの数が変動することもあり、安定した経営のためにコスト削減の観点から 、またSDGs実現の一環としても省エネ・節電に取り組むことが大切だと考えています。ただ闇雲に掛け声をかけても 、何をどのように節電すればいいのか分からない。そこで九州電気保安協会に勧められて2013年にECOねっとシステムを導入しました。これは電気の使用量を24時間監視し、電気の使い過ぎをモニターの数字と警報で知らせるデマンド監視装置。モニターを事務室に設置し、電気使用量のデータ管理は総務が、警報が鳴った際の対応は施設管理が担当することにしました。

要らない電気を発見

当初は警報が毎日4、5回鳴っていましたね。何が原因で鳴っているのか分からなくて館内を走り回って探していました。ホテルはお客さまの快適な環境を守らなければならないので、その部分には手をつけることはできません。でも試行錯誤をしていくうちに「無駄な電気」「要らない電気」を発見するようになりました。例えば使用後の宴会場でエアコンがフル稼動しているなど、人がいない空間の電気の切り忘れ。エアコンや照明器具を複数設置しているロビーなどでは、どれを使えば効率良く温度や照度を保てるかを実証実験して、適切に間引いていく。従業員が通る外通路は日が暮れると自動的に点灯する照明でしたが、これも手動式に改造。人が通るときだけ点ければいいのです。 温泉施設では濾過器が稼動していますが、営業終了1時間前の受付締め切り時にお客さまが誰もいなければ、その時点で切る。1時間分の電気が節約できます。どれも些細なことですが、そんな細かい節電の積み重ねなのです。

デマンド限界時の裏技

電気使用のピークは季節なら夏、時間では気温が上昇する14時前後と、チェックインが混み合う夕方。そのときに全客室のエアコンが稼動し、宴会場も温泉もフル稼動となると、目標デマンドが限界になる。無駄な電気はもうどこにもない。そんなときは事情を説明して、宴会が行われる間は事務室のエアコンを切ります。それで事務室の室温が あまりにも上がったら1台だけ動かして、少し冷えてきたらまた切って。その繰り返しで凌ぐのです。

契約電力355kWを262kWに削減

大勢の従業員を抱えるホテルでは皆で協力しないと節電できません。朝礼では総務が電力使用量の数字を、施設管理が無駄な電気の事例を毎日のように報告して注意喚起しています。皆も、昨日より今日、先月より今月の電力使用が少なかったと数字で示されれば、俄然やる気になります。そんな周知をしていくと 、皆それぞれの部署で自発的に 無駄な電気を見つけては適切に処理するようになりました。今はほぼ警報は鳴りません。契約電力はECOねっとシステム導入前は355kWでしたが、現在は262kWと大幅に減って安定しています。節電のコツはいたって単純。些細なことでもこまめにコツコツと、要らない電気を切っていくことです。

1ホテル全景。美しい有明海の眺望と日本有数の高濃度炭酸泉が自慢
2事務室に設置したECOモニターで電気の使い過ぎをチェック
3エントランスやロビー、廊下の空調を1か所でコントロールし、電気の無駄を省く
4最大500名収容可能な大宴会場はプロジェクションマッピングにも対応

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