隙間や穴からの侵入に注意!小動物による電気事故

現場レポート

隙間や穴からの侵入に注意!小動物による電気事故

九州電気保安協会はお客さまの設備で発生した停電などの電気事故に24時間対応して駆けつけます。
対応する電気事故の原因の一つに小動物の侵入(鳥獣接触)によるものがあり、昨年度は116件発生しています。
今回は「小動物が起こす電気事故」について、当協会佐賀支部の桑原博がお伝えします。

小動物が受電設備に侵入して発生

電気事故の原因を引き起こす小動物の多くは、ヘビ・ヤモリ・ネズミ・鳥などで、ケーブル引込口や引出口、通気孔、腐食した破損箇所などから高圧受電設備内に侵入します。高圧機器の充電部に触れると、短絡事故※1や地絡事故※2によりお客さま施設の停電が発生する恐れがあります。場合によっては、お客さま施設だけでなく、周辺一帯を停電させる「波及事故」に至る可能性もあります。私の経験では、草むらに設置したキュービクルではヘビやヤモリ、ムカデの侵入、飼料工場などではネズミの侵入が多く、季節としては小動物の活動が活発な春から秋にかけて事故が多いと感じます。

事例① 充電部にヤモリが接触

私が経験した小動物による電気事故の事例を紹介します。夜間、食品製造会社のお客さまから停電の通報を受けて現地到着後、まず保護装置の動作内容から短絡事故であることを確認しました。設備被害及び絶縁に異常がないことを確認し、無事復旧しました。翌朝、原因特定のため、再度調査に伺い、屋外キュービクルの中を点検したところ、ヤモリの死骸を発見。侵入箇所を探しましたが、ケーブル貫通部や扉に隙間は見当たらなかったため、メーカーによる調査を行った結果、ヤモリはルーフファン部の雨水排水用の隙間(10mm)から侵入したと推測されました。今後の事故防止のため、お客さまに追加で網戸用メッシュを取り付けていただき、さらにキュービクルの周辺に超音波害虫駆除器と粘着シートを設置していただきました。こういった予防策は、ご相談の上、お客さまの事業内容に合わせて行います。

事例② 扉の隙間からムカデが侵入

もう一つの事例は運動公園での地絡事故。「電気が使えない」との連絡を受けて現地へ到着し、確認すると地絡継電器動作によって引込用区分開閉器が切れ、お客さま施設が停電していました。屋外キュービクル内を調査するも異常が見当たらないので、脚立を使って上部から目視点検すると、負荷開閉器の絶縁体の上にムカデの死骸を発見。このムカデが充電部に触れたことが原因と思われます。すぐに死骸を除去して絶縁に異常がないことを確認し復旧しました。このキュービクルには特に開口部がなく、ムカデは数ミリ程度の扉の隙間から侵入したと推測しました。

小動物による事故を起こさないために

小動物による電気事故を防ぐにはキュービクル内に侵入させないことが第一です。受電所周りに草が茂らないよう除草するなどして小動物が近づかない環境にし、腐食箇所は改修することをお願いしています。また、事例①のように細かいメッシュなどを追加して取り付けることをお勧めします。今回ご紹介した事例が、お客さまの電気設備改修の参考になれば幸いです。

小動物が電気設備に接触

キュービクル内にある負荷開閉器の絶縁体の上で発見された体長約10㎝のムカデ(事例②)と、電柱の避雷器周囲に接触して地絡事故を起こしたカラス。小動物による接触は電気を止める原因となります。

屋外キュービクルで起きたヘビによる事故

屋外に設置されたキュービクルの腐食箇所からヘビが侵入し、短絡事故が発生。真空遮断器や計器用変成器が焼損し、使用不能になりました。ゴルフ場など、除草するのが難しい場所にキュービクルを設置している場合、小動物が侵入する危険があります。腐食箇所を見つけたら、直ちに改修しましょう。

電気設備の設置環境に合わせた対策を

電気設備の設置環境に合わせた小動物対策をお客さまへアドバイスしています!

九州電気保安協会
佐賀支部
技術部
桑原 博

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