高圧受電設備周辺の植生管理

現場レポート

高圧受電設備周辺の植生管理

高圧受電設備周辺の植生管理

九州電気保安協会では、お客さまの自家用電気工作物を定期点検していますが、外観点検項目の中に「電線と他物との隔離距離の適否の確認」があります。高圧受電設備周辺の植生管理について、当協会佐賀支部の松尾大志がお伝えします。

適切な植生管理で地絡事故を防止

外観点検の際、おもに引込柱(構内1号柱)の上部に設置されている引込開閉器の周囲に障害物がないか、目視で点検します。障害物の大半は樹木。樹木の枝葉が生い茂って電線や開閉器に近づいてくると要注意。そのまま放置すると枝葉はどんどん伸び、やがて電線や開閉器、高圧ケーブルに接触して地絡事故が発生します。直接触れていなくても、台風などの強風時に枝があおられて接触する可能性もあります。一方、地上に設置したキュービクルの周囲に雑草が茂っていると、いつの間にか筐体の隙間から蔓草などが侵入することがあります。これを放置するとキュービクル内部で蔓草は縦横無尽に伸びていき、高圧充電部に巻きついて地絡事故が発生する危険があります。また蔓草は地上から支線などを伝って電柱の上に伸びていき、引込開閉器に達することもあります。

適切な植生管理で地絡事故を防止

架空引込線に樹木が接触

架空引込線への樹木の接近について、私が担当した事例を紹介します。お客さまはコンビニエンスストア。店舗の真裏に引込柱が立ち、背後には樹林が広がっているという立地環境です。今夏の月次点検で伺った際、外観点検で架空引込線を確認したところ、高圧ケーブルの右相に樹木の葉が接触しているのを発見。地絡事故が発生して停電するおそれがある旨をお客さまに報告し、至急の伐採(枝払い)をお願いしました。なお、後日の業者による伐採作業では高所での枝払い作業で高圧電線に触れる危険があるため、電気主任技術者として私が作業現場に立ち会いました。場合によっては区分開閉器を切って停電して作業することもあります。

架空引込線に樹木が接触

キュービクルに蔓草が侵入

キュービクルに蔓草が侵入する事例を紹介します。お客さまは中山間地に施設を持つ工場。夏場の月次点検でキュービクルを見たところ、なんとキュービクル筐体全体が蔓草に覆われていました。月次点検は隔月の契約なので、2か月の間に蔓草がキュービクルを覆ってしまったのです。当協会の他の事業所では、蔓草が内部に侵入して高圧交流負荷開閉器に接触して地絡事故を起こしたという事例が報告されています。恐る恐る扉を開けて内部を確認すると、幸いなことに蔓草は中には侵入していないことが判明。お客さまに報告し、外側を覆っている蔓草を除去して事なきを得ました。この教訓から車に除草剤や草刈機、鎌などを搭載して未然の事故防止に取り組んでいます。

キュービクルに蔓草が侵入

枝払い・草刈りを定期的に

高圧受電設備の環境整備はしっかりした自主保安体制が求められます。引込柱の周囲に樹木がある場合は、事前に枝払いを行ってください。可能なら伐採の検討もお願いします。そして引込柱やキュービクルの周辺には雑草が生えないよう定期的に草刈りするなど、植生管理をしてください。夏場はとりわけ雑草の成長が著しく早くなるので気をつけてください。ただし、受電設備に蔓草などが侵入しているのを発見したら、決して蔓草に触れず、当協会に連絡してください。

太陽光発電設備も
植生の管理は
重要な管理項目です

九州電気保安協会
佐賀支部 佐賀北事業所
松尾 大志
松尾 大志
今日もどこかで

このカテゴリの関連記事

Page Top