地域の公益財産を守る〜文化財などの電気設備特別点検〜

現場レポート

地域の公益財産を守る〜文化財などの電気設備特別点検〜

九州電気保安協会では地域への社会貢献活動の一環として、電気使用安全月間や文化財保護強調週間などで公共施設や福祉施設、文化財関係など公益性の高い施設における電気設備の特別点検を行っています。
今回は重要文化財特別点検について、当協会田川事業所の吉岡源吾がお伝えします。

重視される重要文化財の防火対策

経済産業省の主唱で毎年8月を「電気使用安全月間」と定め、関係団体が電気事故防止に資するための活動を全国一斉に展開しています。当協会でも広報やキャンペーンなどで広く電気使用の安全について啓発活動を行っていますが、併せて公共施設や文化財施設などの電気設備の特別点検を実施しています。近年では仏・ノートルダム大聖堂の大火災や沖縄・首里城正殿の焼失を踏まえて国宝・重要文化財の防火対策が重視されているところ。私ども田川事業所の管内には、国指定重要文化財である英彦山神宮奉幣殿(社殿)があります。そこで今回は英彦山神宮の電気設備特別点検を行いました。

社務所と授与所の電気設備を点検

幣殿は約400年前に建てられた貴重な建物。いまもここで祭典が執り行われています。同じ境内には電気を使用する社務所と授与所が建っているので、この2施設の電気設備を点検することにしました。当日は田川事業所と北九州支部から総勢9名の作業員が参加。点検前のミーティングで受け持ち箇所を割り振りし、作業内容を確認します。「ご安全に!」の掛け声で点検作業に入りました。

火災の原因となる漏電・短絡事故

社務所と授与所は一般家庭と同じような低圧電力の施設。分電盤から屋内配線、コンセント類、照明器具などの設備を点検していきます。漏電や短絡(ショート)の原因となる配線の破損や配線ネジの緩みがないか、腐食はないか、コンセントやプラグ、照明の端子などにほこりがたまっていないかを入念に目視点検し、不具合があれば出来る範囲で対応。今回の点検では、コンセントの蓋が外れかけている箇所を発見。普段からプラグの抜き差しを頻繁にしていると蓋のネジがだんだん緩んできます。蓋が外れてしまうと充電部が剥き出しになって危険なので、ネジを締め直して蓋を固定しました。
分電盤の点検でも、ネジの緩みや接続部の変色がないか目視点検を行います。神宮の担当者さまに了承をいただいて停電し、絶縁抵抗測定をして異常がないかを確認。念のために各端子を増し締めしました。

電気の安全な使い方を地域に啓蒙

すべての点検を終えると、仕上げに照明器具を清掃して作業は終了します。社務所、授与所ともに問題はなかったものの、一つだけ気になる点がありました。授与所から数メートル離れた手水舎(ちょうずや)に電線が架空配線されており、その電線を支持していたはずのメッセンジャーワイヤーが腐食して無くなり、電線がそのままぶら下がっているのです。放っておくと張力や風圧で切れて落ちる危険があります。そのことを担当者さまに報告し、早急に架空配線支持材を取り付けるようお願いしました。
重要文化財の電気設備特別点検は当協会の地域社会への貢献ですが、この活動から重要文化財の施設管理者さまには電気の安全意識を高めていただければ幸いです。

国指定重要文化財の英彦山神宮奉幣殿
英彦山神宮奉幣殿
メンバー全員で点検内容を確認
点検内容を確認
漏電などの異常がないか 検電器を使って慎重に検査
検電器
照明器具を丁寧に拭いていく
照明器具
社務所にある分電盤の内部を点検し、
内部やカバーのほこりも取り除く
分電盤の内部

大切な文化財をしっかり守るため電気点検を行います!

吉岡源吾
九州電気保安協会
北九州支部田川事業所
事業所長
吉岡源吾

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